中小企業向けワークフローシステムの選び方|
機能・費用・運用体制の確認ポイント
中小企業でワークフローシステムを検討するとき、機能や料金の違いは分かっても、どの製品が組織の運用に合うのか判断しにくいことがあります。
導入後の設定変更や管理を現在の担当体制で続けられるか、利用環境が組織の条件に合うかといった点は、機能や料金だけでは分かりにくいためです。
候補を比較する際は、導入後の管理や利用環境・連携条件まで含めて、自組織に合うかを確認することが重要です。
では、どのような点を確認すれば「この製品なら導入できる」と判断できるのでしょうか。
本記事では、7つの選定ポイントを軸に、必要な機能と運用条件、候補の絞り方、社内説明に向けて整理しておきたい情報を解説します。
なお、本記事はCreate!Webフローを提供するインフォテックのマーケティング部編集部が、ワークフローシステム選定の考え方を一般的な観点から整理しています。
中小企業のワークフロー選定で見落としやすいこと
導入時の使いやすさだけで判断すると、人事異動や申請書の変更後も、現在の担当体制で運用を続けられるかという点を見落としやすくなります。
中小企業のワークフローシステム選びで確認したい7つのポイント
中小企業向けのワークフローシステムは、機能数や利用人数だけでは選びにくいものです。
日々の申請・承認に合うか、導入後も無理なく管理できるかまで含めて、次の7点を見ていきます。
1.申請フォームが現場の使い方に合うか
現在の申請書をもとに、申請者が入力しやすく、承認者が判断に必要な情報を確認しやすいかを見ます。
例えば購入申請なら、申請者は金額入力と見積書の添付、承認者は申請金額と見積書の照合まで一連の操作を試すと、使いにくい箇所が見えやすくなります。
既存の帳票をそのまま再現することより、日常の入力・確認が無理なく進むことが重要です。
スマートフォンを使う運用なら、実際の端末で入力や資料添付まで試すと、現場の使い勝手を判断しやすくなります。
2.必要な承認ルートに対応できるか
組織の決裁条件や役職配置に合わせて、必要な承認ルートを設定できるかが判断の軸になります。
- 金額や申請内容、申請部門に応じて承認先を切り替えられるか
- 一人が複数の役職や部門の責任者を兼ねる場合も、組織のルールに沿って承認を回せるか
- 組織変更や人事異動があったときに、承認者やルートを無理なく変更できるか
例えば「10万円未満は課長決裁、10万円以上は課長承認を経て部長決裁」という運用なら、金額に応じて必要な承認段階を切り替えられることが判断材料になります。
3.承認者の不在時にも手続きを進められるか
不在時の対応は、本人が外出先などから承認する場合と、代理者へ任せる場合に分けて考えると整理しやすくなります。
- モバイル承認:本人がスマートフォンなどから申請内容や添付資料を確認し、承認まで進められるか
- 代理承認:代理者を誰が指定するか、対象となる申請や期間を設定できるか、代理で承認した人の履歴が残るか
代理承認では、指定と解除を誰が行うかも重要です。管理担当者が対応するなら、休暇のたびに発生する設定作業の量も選定材料になります。
4.必要な申請情報を確認できるか
申請手続き中と決裁完了後では、必要な情報と見る人が変わります。
場面ごとに、必要な情報へたどり着けるかを見ます。
- 申請手続き中:申請者が進捗を確認でき、承認者が申請内容や添付資料を確認できるか
- 決裁完了後:件名・日付・採番・申請内容から必要な書類を探し、承認履歴や添付資料を確認できるか
- 管理・権限:部門や役割に応じて閲覧範囲を設定し、必要な書類や記録を外部へ出力できるか
5.導入後の管理を無理なく続けられるか
導入後の設定変更を、現在の担当体制で無理なく続けられるかも選定のポイントです。
申請フォームの修正や承認者変更を誰が担うかによって、確認する内容が変わります。
- 組織内で対応する場合:変更にかかる時間、必要な専門知識、担当交代時の引き継ぎ
- 外部支援を利用する場合:依頼できる範囲、対応日数、追加費用
確認のポイント
管理担当者が他業務も担う場合は、日常業務と両立できる作業量かどうかも判断材料になります。
6.導入から運用までの総費用が予算に合うか
利用人数や対象業務、必要な支援の範囲をそろえ、導入から運用までにかかる費用を比較します。
主な費用は次の3つです。
- 初期費用:フォームや承認ルートの設定、導入支援
- 継続費用:利用料、保守・サポート、必要なオプション
- 変更時の費用:利用人数の変更、設定修正、連携の追加
システム費用だけで判断すると、導入後に残る管理作業の負担を見落としやすくなります。
効果を数値で示す場合も、確認できる作業時間や件数など、根拠のある範囲にとどめることが大切です。
7.利用環境・セキュリティ・連携要件に適合するか
自社の利用環境やセキュリティ、連携に関する要件を満たせるかも確認します。
主な確認項目は次の3つです。
- クラウド型:利用可否、社外からの接続条件
- パッケージ型:サーバーや端末などの動作環境
- 共通:認証、情報の保管、セキュリティ要件
技術的な要件は、情報システム部や保守担当者が公式仕様をもとに確認します。
他のクラウドサービスや業務システムとの連携では、受け渡すデータや頻度に加え、設定・開発費用、エラー時の対応先までが判断材料です。
課題から必要なワークフロー機能を見極める
7つのポイントで条件を整理しても、製品の機能一覧だけでは自組織に必要か判断しにくいことがあります。
実際に起きている課題と機能を対応づけると、優先して確認すべき機能を絞りやすくなります。
| 現在の課題と状況 | 確認したい機能 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| 説明不足、入力漏れ、計算ミスが繰り返し発生している | 入力補助・自動計算 | 記入例、選択入力、計算式を設定する。 |
| 金額や申請区分によって承認先が変わり、毎回の判断や振り分けが必要になる | 条件分岐 | 申請金額や申請区分といった条件に応じて、承認先や承認ルートを切り替える。 |
| 外出や休暇のたびに承認が止まりやすい | モバイル・代理承認 | 本人が対応できる場面はモバイル、対応できない期間は代理者へ切り替える。 |
| 承認状況の問い合わせや書類の再送が繰り返し発生している | 進捗・検索・共有 | 申請者が進捗を確認し、決裁後は必要な担当者が申請内容を参照する。 |
| 人事異動や兼務のたびに承認者の変更・確認に手間がかかる | 組織・役職に基づく管理 | 申請者の所属や役職を基に承認者を設定する。 |
| 決裁後の転記・集計が繰り返し発生している | データ出力・連携 | 決裁後の情報を集計や別システムへ渡す。 |
優先したいのは、実際の申請・承認で繰り返している入力内容の不備、承認処理の停滞、進捗の問い合わせ、転記に対応する機能です。
入力フォームの画面や設定例は、「Create!Webフロー」の申請/承認フォーム機能で、記入例や選択入力などを確認できます。
確認した条件をもとにワークフローシステムの候補を絞る

こまで整理した機能や運用条件を、必ず満たしたい条件と調整できる条件に分けると、比較候補を絞り込めます。
あわせて、現在の仕組みで対応できる範囲と、導入後も無理なく運用を続けられるかを確認します。
1.外せない条件と調整できる条件を分ける
最初に整理したいのは、どうしても外せない条件と運用を見直せば調整できる条件です。
対象となる申請業務や承認条件、利用部門・人数、導入希望時期を洗い出すと、両者の違いが見えやすくなります。
必須要件として整理された条件の例
例えば、次のような条件が「満たせなければ候補から外れる」要件として整理されることがあります。
- 現在の申請書に近いレイアウトや入力方法で使える
- 必要な承認ルートを設定できる
- 管理担当者が設定変更や運用を続けられる
- 予算や認証・セキュリティ条件を満たせる
外せない条件は組織によって異なります。
現在の運用をどこまで維持したいか、ワークフローシステム導入後の管理を誰が担うかまで含めて整理すると、候補を比較しやすくなります。
2.既存の仕組みで対応できる範囲を確認する
新しいシステムを追加する前に、現在使っているグループウェアなどで、必要な申請・承認をどこまでまかなえるかを確認します。
外せない条件まで満たせるなら、そのまま使い続ける選択肢もあります。
既存の仕組みでは対応しきれなかった例
- 一部の申請業務だけ紙やメールが残る
- 複雑な承認ルートを設定できない
- フォームやルートの修正をIT担当者に頼っている
こうした場合は、既存機能に残す業務と、新しいシステムへ移す業務を分けると、追加するシステムの役割が明確になります。
3.導入範囲と進め方をそろえる
製品を比較するときは、最初に利用する部門や申請業務の範囲をそろえます。
対象範囲によって、必要なフォームや承認ルート、利用人数、準備作業、費用が変わるためです。
全体で利用するのか、一部の部門・申請業務から始めるのかを整理し、同じ条件で候補を比較します。
4.条件への対応状況から比較候補を残す
ここまで整理した条件を使って、候補に残す製品と、追加確認が必要な製品を分けます。
| 確認結果 | 候補をどう扱うか |
|---|---|
| 必須条件を満たし、費用・準備期間・管理作業も許容範囲に収まる | 比較候補に残す |
| 追加設定・外部支援や、組織側の運用変更によって対応できる | 対応内容と費用・時期を確認し、無理なく運用できるなら残す |
| 必要な条件を満たせるか、資料やWebサイトだけでは判断できない | 提供元への確認やテストまで判断を保留する |
| 必須条件を満たせず、現実的な代替方法もない | 候補から外す |
候補に残った製品は、利用人数・対象業務・利用期間などの条件をそろえ、費用と運用条件を比較します。
前章で整理した機能、管理体制、費用、利用環境を照らし合わせ、必須条件を満たしながら導入後も無理なく運用できる候補を残します。
残った候補を確かめ、社内判断につなげる
導入事例は、業種や企業規模だけでなく、導入前の課題、対象業務、導入範囲、運用体制まで見ておくと、自組織との共通点を探しやすくなります。
特に、全社一斉に始めたのか、一部の部門や業務から段階を経て全社展開していったのかは、導入範囲を考える際の参考になります。
一方、事例ごとに前提条件は異なるため、掲載されている成果をそのまま自組織に当てはめないことも大切です。
導入の進め方を確認できる事例
SUS株式会社様|一部部署で先行し、全社へ展開
既存の紙書類に近い様式を活かしながら準備を進め、総務チームなど一部部署への先行導入を経て全社運用へ展開しています。利用者の意見を取り入れながら改善した点も、段階的に広げる際の参考になります。
AOSデータ株式会社様|15ユーザーから始めて全社へ展開
営業部を中心とした15ユーザーで試験運用を始め、運用できることを確かめたうえで全社導入へ広げています。その後も申請業務や利用範囲を段階的に追加しており、スモールスタートから広げる流れを確認できます。
判断に足りない情報を関係者・提供元に確認する
候補を残した理由と未確認事項が整理できると、次に誰へ確認すべきかも見えてきます。
技術要件は情報システム部、費用や導入範囲は責任者というように、内容によって確認先を分けます。
主な確認先と相談内容は次のとおりです。
同じ人が複数の役割を担う場合も、観点ごとに分けて確認すると抜けを防ぎやすくなります。
| 確認する相手 | 相談する内容 |
|---|---|
| 申請者・承認者・管理担当者 | 申請者・承認者が入力や内容確認を無理なく行えるか。管理担当者が設定変更や引き継ぎを担えるか。 |
| 情報システム部・外部の保守担当者 | 提供形態や認証・保管条件が組織の基準に合うか。保守や連携エラー時の対応を誰が担うか。 |
| 導入責任者・予算承認者 | 外せない条件は何か。予算と管理作業の負担をどこまで許容できるか。導入範囲・時期を調整できるか。 |
| 製品の提供元・導入支援先 | 必須条件を満たせるか。追加設定・支援が必要な場合の費用、対応時期、組織側に残る準備作業は何か。 |
社内で導入を説明する材料を整理する
最終候補を組織内で説明するときは、機能数や価格だけでなく、導入目的と候補を残した理由を一続きで整理します。
- 現在の課題と導入目的
- 対象とする申請業務・利用範囲
- 改善したい作業と確認する効果
- 導入・運用・変更にかかる費用と管理作業
- セキュリティ・連携・提供形態の条件
- 候補を残した理由と未確認事項
この状態まで整理できれば、候補を残した理由と、次に確認すべきことを分けて説明できます。
まとめ
中小企業向けのワークフローシステムを選ぶときは、機能や料金だけでなく、現在の申請・承認に合うか、導入後も無理なく管理できるかまで含めて比較します。
外せない条件を整理し、既存の仕組みで対応できる範囲と比較対象を明確にすると、候補を絞りやすくなります。
残った候補は、未確認事項を関係者や提供元へ確認し、選定理由を組織内で説明できる状態まで整理しましょう。





