ワークフローシステムの導入で失敗しないために|
5つの失敗パターンと確認ポイント
申請・承認の負担を減らすためにワークフローシステムを導入しても、現場で使われなかったり、現在の業務に合わなかったりして、かえって管理の手間が増えることがあります。
失敗を避けるには、導入後に起こり得る問題を先回りして、自組織で確認すべき条件に置き換えることが重要です。
では、選定時にどのような問題を想定し、何を確認すればよいのでしょうか。
本記事では、ワークフローシステムを提供する立場から、導入後の定着や運用に関わる5つの失敗パターンを取り上げ、候補を評価するときに確認したいポイントを解説します。
この記事のポイント
ワークフローシステムの導入失敗を避けるには、機能の有無だけでなく、実際の業務や利用者に合うか、導入後も無理なく運用できるかを選定時に確認することが重要です。
- 利用者の操作、承認ルート、申請前後の作業、導入後の管理、対象範囲という5つの観点から、導入後に起こり得る問題を確認する
- 実際に使用している申請と利用者でテストし、通常の申請だけでなく、代理対応や条件分岐、外部連携、設定変更なども確かめる
- テストで見つかった課題が導入目的に影響するか、追加の費用や作業で対応できるかを確認し、導入可否や導入範囲を判断する
ワークフローシステム導入で想定したい5つの失敗パターンと防止策
ワークフローシステムの定着や運用面での失敗を防ぐには、操作性、承認ルート、申請前後の作業、導入後の管理、対象範囲の5点について、起こり得る問題と導入前の確認事項を対応させることが重要です。
| 失敗パターン | 導入前に確認したいこと |
|---|---|
| 操作が難しく、現場に定着しない | 実際の利用者や利用場面に合う操作性か |
| 承認ルートが業務の条件に合わない | 条件分岐や不在時を含め、実際の承認ルートに対応できるか |
| 前後の作業が残り、二重入力や情報分断が起きる | 申請前後を含め、手入力や転記がどこに残るか |
| メンテナンスに時間を要して管理を続けられない | 組織変更やフォーム修正を継続して管理できるか |
| 対象を広げすぎて、導入や定着が進まない | 対象範囲に対して、準備や運用を担う体制が確保できるか |
1. 操作が難しく、現場に定着しない
操作性は、画面の分かりやすさだけでは判断できません。
利用者の役割・利用頻度・端末によってつまずく場面が異なり、問い合わせや従来運用の併用につながることがあります。
役割・利用頻度・端末によって必要な操作性は異なる
利用頻度が低い申請者では、久しぶりに利用しても入力場所や次の操作が分かるかが一つのポイントです。
承認者では、判断に必要な情報や添付資料の確認しやすさが重要になります。
外出先から利用する場合は、スマートフォンでの見やすさも確認しましょう。
防止策|実際の利用場面を想定して操作性を確認する
申請者・承認者それぞれに、普段に近い条件で入力・添付・内容確認まで試してもらいます。
既存帳票のレイアウトを活かすことは選択肢の一つですが、再現自体を目的にはしません。
利用者が迷いにくい部分は残し、不要な項目や承認時に確認しづらい情報は見直す、という切り分けがポイントです。
2. 承認ルートが業務の条件に合わない
承認ルートの適合性は、通常案件が処理できるだけでは判断できません。
金額・部門・役職・不在など条件が変わる場面では、システムの対応範囲と実際の運用に差が生じることがあります。
金額・部門・不在時などで承認条件が変わる
一定金額を超える案件では決裁者の変更が必要になる場合があり、部門によって確認先が異なるケースもあります。承認者の不在時には代理対応が必要になることもあります。
システムが対応できない条件では、一部の案件だけメールや口頭での調整が残ることがあります。
防止策|条件分岐や不在時まで含めて承認ルートを確認する
金額・部門・役職ごとの承認先を整理し、必要な条件分岐を再現できるか確認します。
承認者が不在の場合の、代理者と判断権限の扱いまで確認対象です。
すべての例外を網羅するより、実際に発生する条件や、処理できないと業務への影響が大きいケースから優先すると、確認範囲を絞りやすくなります。
3. 前後の作業が残り、二重入力や情報分断が起きる

申請・承認を電子化しても、前後工程に手作業が残れば、期待したほど業務効率化につながらないことがあります。
申請前と決裁後にも入力・転記・連絡が発生する
申請前に別システムの情報を転記し、決裁後にExcelへ再入力したうえで関係者へメールする、といった流れが残る場合があります。
同じ情報を複数の場所で扱うと、確認先や更新先が分かれ、管理の手間も増えます。
防止策|申請前後を含めて残る作業を確認する
申請前後に残る手入力・転記・連絡を洗い出し、導入後も続ける作業と減らしたい作業を分けます。
必要に応じて、他システムからの情報利用や決裁データの受け渡しも検討できますが、すべてを自動化する必要はありません。
導入目的への影響と発生頻度を基準に、残る作業を許容できるか判断することが重要です。
4. メンテナンスに時間を要して管理を続けられない
導入時に問題なく使えていても、人事異動や組織変更、フォーム修正が重なると、設定と実際の業務にずれが生じることがあります。
人事異動や組織変更のたびに設定変更が発生する
人事異動では所属組織や承認者の更新が必要になり、業務変更ではフォームの項目やレイアウトを直す場面も生じます。
変更のたびに多くの手作業が必要だったり、設定できる人が一人に限られたりすると、その担当者へ依頼が集中しがちです。
導入時には見えにくくても、更新が重なると管理作業が増える場合があります。
防止策|変更作業の量と、誰が担うかを確認する
導入後に想定される変更点を挙げ、作業量・頻度・担当を確認します。
業務部門で変更する場合は担当者が扱えるか、情報システム部や製品提供元へ依頼する場合は対応範囲が明確かが判断材料です。担当交代後も維持できるよう、設定内容や変更理由を引き継げる状態にしておくことも欠かせません。
5. 対象を広げすぎて、導入や定着が進まない
導入範囲は、広いほど効果が大きいとは限りません。
対象が増えるほど要件調整・設定・案内も増えるため、導入目的と準備できる体制のバランスが崩れると、開始や定着が遅れる要因になります。
対象が増えるほど調整・設定・案内を並行して進めることになる
最初から多くの部門や申請を対象にすると、部門ごとの条件整理、フォーム作成、承認ルート設定、利用者への案内を並行して進める必要があります。
人員や期間が足りない場合は、十分に確認できないまま利用を始めることもあります。
防止策|導入目的と準備できる体制から対象範囲を決める
導入範囲は、改善したい課題への効果と、準備に使える人員・期間を合わせて決めます。
一部の部門や申請から始める方法もありますが、スモールスタート自体が目的ではありません。必要な確認や修正を行える範囲を選び、将来広げる際も問い合わせや設定変更を含めて運用を続けられるか見通すことがポイントです。
テスト運用でワークフローシステムの導入失敗につながる条件を確かめる
候補を絞った後は、実際の業務に近い条件でテストし、導入後の運用に無理がないかを確かめます。
まずは、対象にする申請と利用者を決めます。
実際に使っている申請書と利用者で試す
テストでは、実際の業務で使用している申請をもとに、入力から承認、決裁後の処理までを試します。
-
導入目的に直結する申請を選ぶ
たとえばExcelへの転記削減が目的であれば、申請件数が多く、決裁後も別のシステムやExcelへの入力が発生している申請が候補です。
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通常とは異なる処理が発生する申請も含める
一定金額を超えると承認ルートが変わるなど、例外的な処理が発生する申請も対象にすると、通常時だけでは分からない運用条件まで確認できます。
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実際の利用者がそれぞれの操作を試す
普段その業務に関わる申請者・承認者・管理担当者が、実際の申請書や添付資料を使います。申請者は入力や添付、承認者は内容確認や承認、管理担当者はフォームや承認ルートの設定・変更を担当する形です。
申請から決裁後の処理まで一連の流れで試すことで、誰にどの作業が発生するかも確認できます。
通常時だけでなく、例外処理や設定変更まで確かめる
テスト運用では、普段どおりに申請・承認できることを確認するだけでは十分ではありません。
差戻しや承認者不在時の代理対応、条件による承認ルートの分岐、人事異動や組織変更に伴うメンテナンスまで確かめることで、導入後にシステム外の対応や想定していなかった管理作業が発生しないかを確認できます。
| テストする場面 | 確認すること |
|---|---|
| 入力・申請・承認 | 入力する場所や操作手順が分かるか、承認に必要な情報や添付資料を確認しやすいか |
| 差戻し・再申請 | 修正箇所が申請者に伝わるか、修正後に再申請ができるか |
| 承認者不在 | 不在期間中に代理者を設定し、代理で承認できるか |
| 金額など申請内容による承認ルートの分岐 | 設定した条件に応じて、想定した承認ルートへ切り替わるか |
| 人事異動・組織変更 | 承認者や組織などの設定を変更できるか、変更にどの程度の作業が必要か |
| 申請フォーム修正 | 項目やレイアウトなどを変更しやすいか |
| 外部連携 | 必要な情報を受け渡せるか、手入力・転記等の作業が残らないか |
テスト運用で見つかった課題を導入判断につなげる
テスト運用で見つかった課題は、導入判断の時点ですべて解消できている必要はありません。
導入目的や業務への影響を踏まえ、次の順で整理します。

導入目的への影響を確認する
たとえば二重入力の削減が目的なのに、決裁後も毎日多くの転記が残る場合は、目的を十分に達成できない可能性があります。
- 導入前に対応すべき課題と、運用上許容できる課題を分ける
発生頻度が低く、少ない手作業で対応できるものは、運用として残す選択肢もあります。 - 対応方法と必要な費用・作業を確認する
実現できなかった項目について、設定変更、追加機能、他システムとの連携、製品提供元の支援で対応できるかを確認します。
ここまでの確認結果を整理し、導入可否や対象範囲を検討する際の判断材料とします。
選定時の確認ポイントを導入事例と製品情報で確かめる
選定時に何を重点的に確認するか迷う場合は、自組織と似た課題の導入事例や、具体的な製品情報も判断材料になります。
まず導入事例から、実際に利用する人の操作性や、導入後に管理する部門の体制など、選定時に重視されたポイントを確認します。
鹿児島きもつき農業協同組合
パソコン操作に不慣れな職員を想定し、紙に近い操作感と、複雑な承認・決裁ルートの設定しやすさを評価した事例です。利用者と管理担当の両面から候補を見る参考になります。
いすゞ自動車販売
申請書類を取りまとめる部門担当者の意見を得ながら検討し、業務部門で申請フォームや承認ルートを管理できることを選定要件にした事例です。導入後のメンテナンスを誰が担うのかを検討する際の参考になります。
※いずれもCreate!Webフロー公式サイトの取材に基づく導入事例です。選定時の着眼点を示すもので、個別の成果を一般化するものではありません。
事例で選定時の着眼点を確認したら、ここまで整理してきた条件を具体的な製品機能と照らし合わせます。
Create!Webフローの関連機能を確認する
帳票の設計や承認ルートの設定、組織変更時の管理方法を確認できるページをご案内します。
自組織の運用に対応できるか確認したい場合は、製品紹介デモにて承ります。お気軽にお申し込みください。
実際の操作で確かめたい場合は、クラウド版トライアルを利用できます。
申請・承認に加え、管理機能もテストすることができます。
ワークフローシステムの失敗に関するよくある質問
導入を具体的に検討するときに残りやすい、運用や移行に関する疑問を補足します。
紙やExcelの申請を残したままワークフローシステムを導入してもよいですか?
紙やExcelの申請を一部残すこと自体が問題であるとは限りません。どの申請をワークフローシステムへ移し、どの申請を既存の方法で残すかを明確にすることが重要です。
ワークフローシステム導入時の利用者教育は、どこまで必要ですか?
必要な教育内容は、利用者の役割や利用頻度によって異なります。申請者・承認者が日常的に行う操作と、困ったときの確認先を整理し、実際の利用場面で迷いやすい箇所を中心に案内するとよいでしょう。
まとめ|失敗を避けるために、実業務で確かめてから選ぶ
ワークフローシステムの導入失敗を避けるには、実際の業務や利用者に合うか、導入後も無理なく運用できるかを確認することが重要です。
選定時には、申請者・承認者にとっての操作性、条件に応じた承認ルートや代理対応、ほかのシステム・サービスとの連携、人事異動や組織変更に伴うメンテナンス性などを確認します。
また、最初から対象を広げすぎず、導入目的と準備できる体制に合わせて対象範囲を決め、必要に応じて段階的に広げる方法もあります。
候補を絞った後は、実際に使用している申請と利用者でテストし、通常の申請だけでなく、差戻しや承認者不在、条件による承認ルートの分岐、外部連携、設定変更まで試しておきましょう。
そこで見つかった課題が導入目的に影響するのか、追加の費用や作業で対応できるのかを確認することで、導入可否や導入範囲を判断しやすくなります。
実際の帳票や承認ルートを使って自組織の業務に合うか確かめたい場合は、Create!Webフローのクラウド版トライアルで操作を試せます。





